おはようございます。
GTJスタッフのノリちゃんです。
僕も変化...進化していきたい。
2024年10月上旬、突如として明るい青色と緑色が混ざったようなジルコンを複数個ご紹介しました。
最初は、「この明るくも不思議で綺麗な色合いに惹かれて仕入れた。」そうですが、商品として出す際の作業である、撮影の際に当てたUVライトにて面白い変化をする事を見つけました。それが、今回の記事にもなる地の色が変わる、一般的には“テネブレッセンス効果”と呼ばれる物になります。
テネブレッセンス(フォトクロミズム)は、長波紫外線を対象の鉱物を当て続ける事により、紫外線を吸収して地の色自体が変化する光学効果です。代表格としてハックマナイト(ハックマン石)で長波紫外線を吸収して濃紫色になり、その後に徐々に戻っていくというのがあります。(※1)
面白い変化のあるジルコンについて、鉱物学等の専門的な内容ではなく、持っていたら誰でも出来る実験の様な、鉱物を観察するという目的の内容の記事になります。
此方のジルコンは、ライブにて幾つかご紹介されていた内の一つです。淡い褐色を帯びた青色が地色のジルコンになります。(※2)
UVライトを当てています。ライブにて1分程の長さで照射しています。此方のUVライトは可視光カット仕様ですので、10秒くらいでも可成りの変化を感じる事が出来ます。
長波紫外線を1分程、当てた後は濃い茶色に変化しています。可成りはっきりと青みが消えて、茶色がグッと出ています。
感覚としては、褐色がかった青(水)色でメタリックな光沢を感じるジルコンが、非常にしっかりとしたブラウンジルコンに変色した様に感じます。思った以上に色の変化を感じるのですが、元の色に青みが含まれている事により、前後での色変化の差がよりハッキリ見て取れます。
EGLソーティングにて現状は「テネブレッセンス」についての言及はありません。ただ、これだけ変化がある訳なので、折角だから日独宝石研究所にて鑑別書を依頼しました。
上記画像が検査結果になります。備考の欄に【テネブレッセンス(フォトクロミズム)を認む】と記載されています。あまりにも変化が乏しいピースでは、テネブレッセンスとして認められないとの事ですが、今回のロットは基本的にテネブレッセンスとして認められる具合で変化していると思います。(※3)
さて、そうなると疑問が一つ浮かび上がります。「他のブルージルコンは色が変化するのだろうか?」手元にあったブルージルコンにも長波紫外線を照射してみようと思いました。
此方はビンテージの青色が少し強めのジルコンになります。青色と言う事なので、カンボジア産ジルコンを800-1000℃で加熱して出来上がったピースという事になります。
長波紫外線を30秒ほど当ててみると...。
変化したとは言いずらいですが、若干の色の差を感じる事が出来ました。何となくですが、長波紫外線を吸収し若干茶色みを帯びた気がします。ただし、このレベルでは「変化したというよりはくすんだ」という表現が正解かもしれません。 日独宝石研究所に持ち込んでも、テネブレッセンスは認めてもらえない確率が高いです。手持ちのブルージルコンは7個ありますが、1個以外は何かしらの変化を観察することが出来ました。
基本的には色がくすんでしまう程度ですが、ご紹介したジルコンは青色から茶色へ大きく色の変化があり、ここまでくると少し珍しいのかもしれません。
現在は商品として、テネブレッセンス効果と呼べるようなハッキリした色の変化を楽しめるジルコンは数個しかありませんが、今後も面白いジルコンを見つけてきてくれるかもしれませんね。
※1 今回は原理の説明はなく、視覚的な変化のみの説明になります。
※2 こちらのジルコンは、個人所有の資料石で販売はしていません。
※3 この様な鉱物を鑑別する際、日独宝石研究所では「テネブレッセンスが認められるか、認められた場合は変化前後の写真を載せて欲しい」と、依頼すると写真も追加してくれるようです。(追加料金有り)