― タイ産のルビーについて

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タイ産ルビーは、1960年代〜1990年代にかけて最も盛んに採掘され、2000年代以降はほぼ商業採掘が終了し、現在は閉山状態だと言われています。
かつて世界のルビー市場を支えていたタイ東部の鉱山地帯は、いまや新たな供給を期待できる産地ではなくなりました。
現在流通しているタイ産ルビーは、過去に産出された原石、あるいはその時代に制作されたオールドストックや還流品であり、時間とともに確実に数を減らしていく石となっています。
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↑ボライ鉱山跡地の風景
✴︎ ボライ鉱山跡地にて
2024年の年明けごろ、タイ東部にあるルビーの主要産出地だったボライ地区の鉱山跡地を訪れました。
そこに広がっていたのは、すでに役割を終えた土地の静けさでした。
鉱山の博物館に残された過去の資料、そして地表に残る大きな水溜まりを目の前にすると、この場所から新たにルビーが生まれることはない。
そんな現実を、肌で感じる機会となりました。
鉱山跡地にはコーヒーなどの栽培が行われており、博物館の横には小さなコーヒーショップが併設されていて、のどかな空気が広がっています。
ボライ鉱山跡地↓



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✴︎ タイ
産ルビーが持つ、独自の色調
タイ産ルビーは、赤一色で語れる石ではありません。
その多くは、パープルとオレンジを帯びた地色を持ち、それがタイ産ルビー特有の表情を形づくっています。
レッドとパープルとオレンジ、深い色同士が重なり合うことで生まれる赤。
この奥行きのある色調こそが、タイ産ルビーの最大の魅力だと考えています。
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✴︎ タイらしいカラーが成立する条件
玄武岩起源という地質環境のもとで形成されたタイ産ルビーは、赤の中に紫味や褐色味を含みやすい傾向があります。
一般に、いわゆる「ビーフブラッド」と表現されるタイ産ルビーのイメージは、色が深く、赤みが少ないものとされています。
その中で、色のバランスが良く、暗さを感じさせない高品質な結晶は、量としても、質としても非常に限られた存在です。
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✴︎ もう一つの希少性
ルビーは、宝石の中でも結晶としての成立条件が非常に厳しい鉱物です。
内部応力や成長過程の影響を受けやすく、
色が成立していても、カットに十分耐えうる結晶として残るものは多くありません。
とりわけタイ産ルビーは、結晶の厚みが出にくい個体が多いことでも知られています。
結晶が薄く広がる傾向があるため、色が美しく成立していても、プロポーションの整ったカットに仕上げられる原石は限られます。
また、産地に関わらず、ルビーそのものの価値の高さから、重量を優先して仕上げられることも多く、美しいプロポーションを保ったカットのルビー自体が非常に希少です。
閉山状態となった産地から生まれた、数の限られた貴重なタイ産ルビー。
石を大切に扱い、研ぎ澄まされたカットによってその美しさを最大限に引き出す。
コランダムを得意とするGemTreeJapanだからこそご紹介できるタイ産のルビーを、ぜひお楽しみください。